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Bible Story 9
タイトル:アブラハムの信仰
聖書箇所:創世記12章1節-5節
あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。
創世記12章1節
The Story
バベルの塔の時代に、人々が全世界に散らされてから、300年ほど経った頃のことです。悪魔は相変わらず神様に敵対し、人々を自分に引き寄せようと誘惑していました。そして、誘惑に掛かった人々を支配し、太陽や月、星など、自然の諸勢力を神として拝ませることで、本当の神様から人々をどんどん遠ざけてゆきました。多くの人は、次第に神様についての正しい知識も失ってゆき、偽りの神々をより現実的なものとするために、像を造ってそれを拝むようになりました。

悪魔はこの偶像崇拝を大いに喜び、神様は深く悲しみました。「人々との関係を取り戻したい…!」神様は、温めてきたプランを実行に移すことにしました。それは、あるひとりの人物から、ひとつの国民を打ち建て、その国民を通して、世界中の人々を悪魔の手から救い出すというご計画でした。
神様は、メソポタミア地方に住む、アブラハムというひとりの男性を選び、彼から生まれる子孫を、その国民とすることに決めました。アブラハムは、偶像崇拝に満ちた社会にいながらも、この世界を造られた本当の神様を自分の神として崇める、数少ないひとりでした。神様は、偶像崇拝の社会からアブラハムを別の場所へと移すことに決めました。

ある日、神様はアブラハムに命じました。「あなたは生まれ故郷を出て、わたしが示す地へ行きなさい。」アブラハムは、神様の言葉どおり、妻のサラと甥のロトを連れて、すぐに出発しました。このときアブラハムは75歳、サラは65歳という高齢でしたが、神様が示したカナンという地を目指して旅に出かけたのでした。アブラハムは、カナンがどんなところなのか知りませんでしたが、ただ神様に従ったのでした。
参考文献:聖書ハンドブック/ヘンリーHハーレイ著/p.82
The Lesson
Point: 状況を見ずに神様を見る
アブラハムは、ウルという大都市で、何不自由ない暮らしをしていたが、偶像崇拝から逃れて、イスラエル民族という一つの国民を打ち建てる使命を神から与えられ、すぐに出発した。この時、人間の創造から約2000年、ノアの時代の大洪水から約400年が経過していた。

アブラハムは偶像崇拝の社会に住み、彼の父親も偶像崇拝者だったが、彼は妥協せず、神から目を離さなかった。アブラハムとサラには子どもがいなかった。彼らは経済的に何不自由ない暮らしを送っていた。彼は血縁関係によって結ばれている身内の者に、深い愛情を持っていた。彼らとの縁を断ち切り、見知らぬ土地を目指して旅に出ることは、決して小さな出来事ではない(信仰の高嶺をめざしてーアブラハムの生涯からー/F・B・マイアー著/p.22参照)。アブラハムは、状況を見ずに神だけを見ていた。
By Grace「命がけのハイキング」

10年以上前の話です。ある時、ドイツ人の女性宣教師の先生から「明日一緒にハイキングに行こう!」誘われました。私は、ハイキングと聞いて、なだらかな丘を散歩する程度をイメージしていたのですが、翌日、車で連れて来られたところは、断崖絶壁の山麓でした。私の大きく見開いた瞳は、「着いた!行こう!」と、ウキウキ車を降りる先生の背中と、そびえ立つ岩肌とを行ったり来たりしました。

登り始めると、案の定、景色はどんどん険しくなって行き、急な傾斜に呼吸も乱れます。何より、右側は見てはいけないゾーンとなって、容赦なく狭くなってゆく足場に、声が出ないほどの恐怖でした。ヘリコプターに救助してもらいたいと、本気で考えながら、ひたすら前を行く先生のかかとだけを見つめて、必死について行きました。
この命がけのハイキングは、私にとって忘れられない、大きなチャレンジでした。今となっては、どうやって下山できたのか、記憶が定かではありませんが、神様が、最後の一歩まで守ってくださったので、救助のヘリを呼ばずに済んだのでした。
アブラハムは、カナンというところをよく知らないまま、神様の呼びかけに従い出発しました。住み慣れた故郷を出て、親族と離れて知らない土地へ移動することは、アブラハムにとって大きなチャレンジだったに違いありません。アブラハムは、状況に目を向けず、神様だけを見つめました。状況を見るか、神様を見るか、自分の目が捕らえるものによって、選択は変わります。もし、前を行く神様のかかとから目を離し、見てはいけないゾーンに目を向けたなら、心にはたくさんの恐れと不安が押し寄せて、彼の心を揺さぶったでしょう。

人生には、時に命がけのハイキングを迫られることがあります。神様に導かれて踏み出した一歩は、神様がその後も導いて下さり、どんな断崖絶壁を通るときにも守ってくださいます。
Application: 見てはいけないゾーンに目を向けず、ひたむきに、神様に従って行きたいです…!
信仰によって、アブラハムは、相続財産として受けるべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました。
へブル人への手紙11章8節
